当院の取り組み

訪問診療での整形外科

Ⅰ.当院の訪問診療について

一般的な訪問診療とは、「住み慣れた地域の中で家族と過ごしたい」、「終末期だが最後まで自宅で過ごしたい」という願いから生まれた、ご自宅での医療提供であり、多くは緩和医療、在宅酸素療法、胃瘻などの経管栄養法、点滴処置などを要する終末期患者様へ提供されてきた医療です。

そのような訪問診療を経験する中で、団塊の世代の高齢化・長寿化に伴い、終末期ではなくても運動器疾患のため通院困難となってしまう患者様をよく見るようになり、また“老々介護や“認認介護”などの社会問題のため、通院困難となってしまう患者様もよく見るようになりました。

そのため、当院では「ご自宅での外来診療」をテーマとして、運動器疾患をはじめとする病気のため通院困難となった患者様が、十分に治療を受けることが出来るよう、ご自宅へ医療を届けていきたいと考えています。

Ⅱ.通院困難となる運動器疾患とその問題点

通院困難となる運動器疾患

◆整形外科疾患
脊髄損傷、頚椎症、腰部脊柱管狭窄症
変形性関節症、関節リウマチ
脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折
◆脳血管疾患
脳出血後遺症、脳梗塞後遺症
◆神経系疾患
認知症、パーキンソン病、脊髄小脳変性症

通院困難の状態

通院困難となる運動器疾患により活動性が低下して、一人では通院することが難しい状態となってしまいます。具体的には以下のような状態となり、通院に介護が必要となります。
◆杖、押し車を使用し、歩行が不安定である
◆車いす等を使用し、歩行が困難である
◆認知症などで服薬管理が難しい
◆ご家族と一緒に病院受診をしている

このように活動性が低下し、介護を要する状態では、患者様だけでなく、通院介助・診察の待ち時間など、通院時のご家族様へのご負担も大きくなります。
その結果、通院負担のため治療を断念し、十分な治療を継続できなくなったり、活動性が低下して、さらに介護を要する状態になってしまうことがあります。

Ⅲ.ひのとり整形在宅クリニックの試み

①ご自宅での外来診療~整形外科・内科~

血液検査・尿検査・心電図検査・超音波検査・レントゲン検査など、外来で行う検査をご自宅で行います。
また診察・投薬・注射・リハビリテーションなどの治療もご自宅で行い、患者様一人一人の状態に合わせた総合的な診療を提供することで、「通院負担・診察の待ち時間・介護負担」の軽減をしていきたいと考えております。
通院困難のため十分な治療を継続できない患者様に、当院の理念である「満足度の高い医療」をお届けします。

②在宅医療の質向上~病院受診の負担軽減~

心不全・肺炎・骨折などが疑われると、病状や入院の必要性を判断するため、ご自宅と病院を往復する必要が出る場合があります。
しかし、通院困難な患者様では病院受診することは、ご本人・ご家族様へのご負担が大きく、在宅診療での問題点でもあります。
レントゲン検査をご自宅で行い、整形外科医、内科医が読影を行うことで、より正確に状態を把握することが可能となり、重要度の低い病院受診を低減することができます。
また、当院では他のクリニックと連携を行い、当院の患者様だけでなく、他院の患者様のレントゲン検査を往診にて対応することで、地域の「在宅医療の質向上」に貢献していきたいと考えています。

③訪問リハビリテーションのNext Stage~急性期と維持期のリハビリ~

当院では整形外科医が診察を行い、急性期・維持期のリハビリを区別し、専門的な知見からリハビリ内容や安静度、ゴール設定について検討することが重要であると考えております。また病状により、リハビリ内容や安静度は変化するため、リハビリ開始前後の状態評価(FIM・BI)を行い、医師・理学療法士が毎週カンファレンスでリハビリによるアウトカム評価を行います。

病院等では一般的に行われているが、訪問リハビリではあまり行われていない、電気治療・超音波治療などの物理療法も導入し、質の高いリハビリを目指しております。
また医師・理学療法士がご担当のケアマネジャー様や介護サービス事業所様と連携を図り、定期的にリハビリテーション会議を行い、患者様やご家族様が安心して在宅生活を送れるように在宅生活支援を行います。