【ひのとり連携会】精神疾患のある方への対応

第10回ひのとり連携会を開催しました

9月24日(木)に、ひのとり連携会を開催しました。

今回のひのとり連携会では、ケアマネジャー、訪問看護師の医療と介護に関わる多職種が集まり、それぞれの専門的な知識を学びながら、実際の在宅療養で起こる課題について意見を交わしました。

今回の講演テーマは、以下の3つです。

【 今回の講演テーマ 】

① 精神疾患のある方への対応

② 医療と介護の勉強会~相互理解の先にある連携~症候の見方シリーズ「褥瘡/皮膚疾患」

③ 事例発表~アドヒアランス(治療同意)向上とチームアプローチ

① 精神疾患のある方への対応

講師:Footage訪問看護ステーション 田端恭平様

1つ目の演題では、フッテージの田端様より「精神疾患のある方への対応」についてご講演いただきました。

精神疾患と聞くと、「どのように声をかければよいのかわからない」「何を考えているのかわからない」と、関わり方に難しさを感じることもあるかもしれません。

今回の講演では、精神疾患の基礎的な知識だけではなく、実際に支援する際にどのようなことを意識すればよいのか、日々の関わりに活かせる内容についてお話しいただきました。

「傾聴」は、話を聞くだけではない

講演の中で印象的だったのが、「傾聴」の大切さです。

患者様の話を聞くとき、こちらがすぐに答えを出そうとしたり、「こうした方がいいですよ」とアドバイスしたりするのではなく、まずはその方の言葉を受け止める。

そして、話を聞いていく中で、

「そうなんだよ!」

という言葉が出てきたら、それは一つの大きなポイントになります。

「自分のことを分かってもらえた」

「自分の話をちゃんと聞いてもらえた」

という感覚が生まれることで、少しずつ信頼関係ができていきます。

精神疾患のある方への支援では、最初からこちらの考えを理解してもらおうとするのではなく、まずは「この人は自分の話を聞いてくれる」と思ってもらうことが、その後の関わりにつながっていくのだと学びました。

一つのことが、生活全体に影響することも

また、精神疾患について考える際に、「ベッドメリー」のようなイメージで捉えるというお話もありました。

ベッドメリーは、一つの部分が動くと、それにつられて全体が動きます。

精神疾患のある方の生活も同じように、一見すると一つの小さな出来事に見えることが、他のさまざまな部分に影響していることがあります。

例えば、眠れないことが続くことで気持ちが不安定になったり、不安が強くなることで外出できなくなったり、人との関わりが減ることでさらに孤立してしまったりすることがあります。

そのため、「この行動だけを何とかしよう」と考えるのではなく、

「なぜ今、このような状態になっているのか」

「生活の中で何が影響しているのか」

と、少し広い視点からその方を見ていくことが大切です。

これは在宅療養に関わる私たちにとって、とても重要な視点です。

患者様のご自宅では、病院とは違い、その方の生活そのものを見ることができます。

睡眠、食事、人間関係、生活リズム、服薬、家族との関係など、一つひとつの出来事が互いに影響しながら、その人の状態をつくっています。

だからこそ、目の前に現れている「困った行動」だけを見るのではなく、その背景に何があるのかを考えることが大切なのだと感じました。

「疾患」だけではなく「その人」を見る

精神疾患のある方への支援では、病名や症状だけを見てしまうと、その人らしさを見失ってしまうことがあります。

「この疾患だからこうだ」と決めつけるのではなく、その方がこれまでどのような生活を送り、何を大切にしてきたのか。

そして、今何に困っているのか。

まずは話を聞き、相手の言葉を受け止める。

そのうえで、生活全体を見渡しながら、その人に合った関わり方を考えていく。

今回の講演を通して、精神疾患の知識を身につけることだけではなく、「その人を知ろうとすること」そのものが支援の第一歩になることを学ぶ機会となりました。

医療職だけでなく、ケアマネジャーや介護職など、日々の生活に寄り添う職種だからこそ気づける変化もあります。

それぞれの職種が気づいたことを共有しながら、その方の生活全体をチームで支えていく。

今回の講演は、精神疾患のある方への対応を考えると同時に、在宅療養を支えるうえで大切な「その人を見る」という視点を改めて考える機会となりました。

https://kakaritsuke.co.jp/
↑footage訪問看護ステーション様のHP

②医療と介護の勉強会~相互理解の先にある連携~症候の見方シリーズ「褥瘡/皮膚疾患」

講師:ひのとり整形在宅クリニック 医師・院長 鴨下友彦

2つ目の演題では、「褥瘡/皮膚感染」をテーマに講演が行われました。

在宅療養中の患者様にとって、皮膚の状態は生活の質にも大きく関わります。

褥瘡は、単に皮膚に傷ができているというだけではなく、栄養状態や活動性、寝たきりの程度、生活環境など、さまざまな要因が関係しています。

また、皮膚の赤みや腫れ、痛みなどがみられた際には、褥瘡だけでなく皮膚感染症など、別の疾患が隠れている可能性もあります。

そのため、日々患者様に接しているケア職が「いつもと違う」と感じた変化を医療職に伝えることが、早期の対応につながります。

医師による診断や治療だけではなく、訪問看護師や介護職が日々の生活の中で状態を観察し、その情報をチームで共有すること。

今回の講演を通して、医療と介護それぞれの視点を持ち寄ることの大切さを改めて確認しました。

③ 事例発表 「薬を使ってほしい」だけでは解決できない?~その人の思いと医療をどう両立するか~

3つ目は、症候の見方シリーズに関連した事例発表です。

今回のテーマは、「薬の選択にこだわりがある患者様を、在宅でどのように支えていくか」でした。

医療者から見ると「この薬を使った方がよい」と考えられる場合でも、患者様には患者様なりの理由があり、薬を受け入れられないことがあります。

では、そのようなときに私たちはどうすればよいのでしょうか。

今回の検討では、薬を受け入れてもらうためには、まず患者様とチームとの信頼関係をつくることが大切だという意見が出ました。

例えば、「痛いことはしない」と約束したのであれば、その約束を守る。

いきなりすべてを行うのではなく、薬を少しだけ塗ってみて、「これなら大丈夫」と本人に感じてもらう。

また、診察や訪問の時間に遅れないなど、一見すると医療とは直接関係がないように思えることも、患者様との信頼関係をつくるうえでは大切な要素になります。

「この人たちなら大丈夫」

そう思ってもらえることが、医療やケアを受け入れていただくための第一歩になるのかもしれません。

チームの中で「相手の職種を下げない」

もう一つ、今回の検討で印象的だったのが、チームの中で他の職種を否定しないことについての意見です。

例えば、

「この薬、全然効果ないよ」

「あのケアマネジャーさんの言っていることはおかしい」

といった言葉を、患者様の前で発してしまうと、患者様が医療・介護チームそのものに不信感を持ってしまう可能性があります。

反対に、

「先生のお薬だから大丈夫ですよ」

「あのケアマネジャーさんに任せておけば大丈夫ですよ」

と、それぞれの職種が他の職種への信頼を言葉にすることで、患者様にもチームへの安心感が生まれます。

在宅療養では、一人の患者様に複数の職種が関わります。

だからこそ、お互いの専門性を尊重し、チームとして同じ方向を向いて関わることが大切です。

「正しい医療」をどこまで届けるのか

今回の事例では、さらに難しいテーマについても意見交換が行われました。

「薬を塗った方がよいことは分かっている。でも、本人がどうしても拒否している。」

このような場合、私たちはどこまで「正しい医療」を勧めるべきなのでしょうか。

本人のためを思って治療を勧め続けることが、本当に本人の望む生活につながっているのか。

一方で、本人の希望を尊重するあまり、必要な治療を諦めてしまってよいのか。

簡単に答えが出る問題ではありません。

だからこそ、今回の検討でもACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性が改めて話題となりました。

患者様が何を大切にしているのか。

どこまで治療を受けたいのか。

どのような生活を続けたいのか。

その思いを確認しながら、病状や治療の選択肢を説明し、患者様と一緒に考えていくことが大切です。

そして、一度決めた方針をそのままにするのではなく、病状や生活の変化に合わせて、必要に応じて何度でも確認していくことも重要です。

◆ 最後に

今回のひのとり連携会では、精神疾患、褥瘡・皮膚感染、そして薬の使用をめぐる意思決定について、多職種で学び、考える時間となりました。

今回の事例発表を通して改めて感じたのは、在宅医療では「正しい治療を提供すること」だけが答えではないということです。

患者様が安心して医療や介護を受けるためには、患者様との信頼関係、職種同士の信頼関係、そしてチームとしての情報共有が欠かせません。

「この人たちなら任せられる」と思っていただけるチームをつくること。

そして、患者様の思いを大切にしながら、その人にとってより良い選択を一緒に考えていくこと。

これからもひのとり連携会では、医療と介護がお互いの立場や専門性を理解し、「安心を共有する」連携を大切にしていきたいと思います。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

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【ひのとり連携会】特別訪問看護指示書について

↑footage訪問看護ステーション田端氏の講演中の様子

↑ひのとり整形在宅クリニック 医師鴨下院長の講演中の様子

↑ひのとり整形在宅クリニック 看護課長 荒川氏の講演中の様子

↑ひのとり連携会の会場の様子①

↑ひのとり連携会の会場の様子②

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