第24回のひのとり検討会を開催しました。
ひのとり検討会は医師、コメディカル、ケアマネジャーが集まって医療と介護の一元化を目指し、それぞれの職種の役割の理解を深めるためにひのとり検討会を開催しています。
今回は、ケアマネジャーの伊藤さんから、現場での実例を交えてお話がありました。テーマはずばり、「ケアマネジャーの役割」。
「電球が切れた」「お金が下ろせない」——そんな一見“介護”とは関係なさそうな相談から、医療・福祉サービスをうまく連携させていく力まで。日々の支援の中で、ケアマネさんがどれだけ多くの役割を担っているか、改めて実感する機会となりました。
◆ 「その人の暮らし」にとっての“利益”とは?
今回の発表では、介護支援専門員(ケアマネジャー)の基本理念と、クリニックの理念を照らしてあらためて振り返る時間がありました。
利益とは:その人の暮らしや生活の質が良くなること
満足度とは:その人にとって“意味のある”支援ができること
支える医療とは:ニーズに合わせた適切な支援の組み合わせ
寄り添う医療とは:相手の立場に立ち、共に考え、行動すること
どれも、私たちが日々関わっている利用者さんにとって欠かせない視点ばかりです。
◆ ケアマネジャーの仕事は、制度だけじゃない
発表では、実際にケアマネさんが受けた相談の数々が紹介されました
電球が切れて困っている
暗証番号が分からずお金が下ろせない
薬が見当たらない
郵便物の中身が分からない
近所からのクレームが来ている
食べる物がない など
一見、どれも「福祉」や「医療」には直接関係ないように見える内容ですが、こうした生活の小さな困りごとに耳を傾けることこそが、その人の尊厳ある暮らしを守ることにつながるのだと感じました。
◆ 連携をよりスムーズにするには?
発表の中で取り上げられたのが、報連相(報告・連絡・相談)がうまくいかなかった事例の紹介です。
● 事例:皮膚トラブルに気づけなかったケース
ケアマネが診察に同席できず、診療内容がすぐに共有されなかったため、翌日デイサービスで利用者さんの足の状態を見た職員が驚いてしまう事態に。
→ “診察内容をケアマネに伝える”というひと手間が、現場の安心につながることを改めて確認。
→ “いつ・誰が・どんな意図で”連絡しているかを事前に共有することで、支援の質がぐっと上がることを再認識。
◆ 取り組みとして始めたこと
このような経験を経て、現在は以下のような改善を進めているとのことです。
・医療職に渡すステップシート(情報共有書)の内容を見直し
・サービスや状態の変化についてはチャットでこまめに報告
・診療開始前に事業所内でケース検討を実施
こうした「ちょっとした工夫」の積み重ねが、安心できるケアにつながる土台になっているのだと思います。
◆ 最後に
ケアマネジャーは、「介護制度を知っている人」でもあり、「利用者さんの一番近くにいる支援者」でもあります。
だからこそ、医療・介護・福祉・地域のさまざまな職種と手を取り合いながら、“その人らしい暮らし”を一緒に支えていく存在なのだと、今回の発表であらためて感じました。
これからも、ひのとり整形在宅クリニックでは、ケアマネさんとの連携を大切にしながら、チーム全体で支える医療を目指していきたいと思います。