第21回のひのとり検討会を開催しました。
ひのとり検討会は医師、コメディカル、ケアマネジャーが集まって医療と介護の一元化を目指し、それぞれの職種の役割の理解を深めるためにひのとり検討会を開催しています。
今回は、後藤医師より「腰痛」についてのお話がありました。
腰痛はご高齢の方だけでなく、誰にでも起こる身近な症状です。でも実は、中には“すぐに対応が必要なもの”もあることをご存知でしょうか?
◆ 腰痛とひとことで言っても、原因はいろいろ
「ぎっくり腰」や「腰の張り」のように、しばらく安静にすれば落ち着くものもあれば、
骨折(腰椎圧迫骨折)
神経障害(麻痺やしびれ)
感染(脊椎の膿瘍)
腫瘍(がんの転移など)
といった、命に関わるようなケースも含まれています。
◆ 見逃してはいけない“Red Flags(赤信号)”
後藤先生が教えてくれたのが、「Red Flags」という考え方。
これは、“この症状があれば、すぐに詳しい検査を!”というサインのことです。たとえば…
強い外傷のあと、急に腰が痛くなった → 骨折の可能性
足が動かしづらくなった、力が入らない → 神経の障害
尿が出にくい、お腹の調子が悪い → 膀胱直腸障害や大動脈瘤の可能性
発熱と腰痛が一緒にある → 感染による可能性も
腰痛といっても、「ただの腰痛」で済ませてはいけないケースがあるんですね。
◆ 実際にあった例:圧迫骨折の場合
たとえば、60代の女性が転倒して腰を打ったとします。その日から腰が痛くて、動くのがつらい。
こういったケースでは、レントゲンやCTで「腰椎圧迫骨折」が見つかることがあります。
基本的には、安静+コルセットによる保存療法(3〜6か月)で治っていくことが多いですが、X線画像で“黒い影”が見える場合は予後が悪い可能性があるので注意が必要です。
◆ 「急がなくても大丈夫な腰痛」もあります
一方で、すぐに病院に駆け込まなくても大丈夫な腰痛もたくさんあります。
① 筋肉・筋膜の痛み
日常生活や姿勢のクセから起こることが多いタイプ。
→ 筋膜リリースやトリガーポイント注射が効果的。
② 椎間関節の痛み(いわゆる“ぎっくり腰”)
→ 簡易コルセットなどでサポートすることで楽になることも。
③ 椎間板性の痛み
前かがみの動きで悪化しやすい。立っているほうが楽という人も。
④ 神経からくる痛み
「ビリビリ」「ズキズキ」としたしびれや痛み。
→ ブロック注射が効果的な場合もあります。
⑤ 不安定性からくる痛み
骨や関節がぐらついて起こる腰痛。ひどい場合は手術が必要になることも。
◆ 見分けるポイントは「症状」と「経過」
腰痛は、「ただの疲れ」から「命に関わる病気」まで、本当に幅が広い症状です。
そのため大切なのは、
いつから痛いのか
どんなときに痛むのか(姿勢・動き)
ほかに症状があるか(しびれ、熱、排尿の変化など)
…こうした情報をしっかり把握して、必要な検査や対応につなげていくことです。
◆ 最後に:腰痛と上手につき合うために
腰痛は、患者さんご本人だけでなく、支えるご家族やケアスタッフにとっても、日々のケアに大きく関わってくるテーマです。
「何か変だな」「いつもと違う痛がり方だな」と感じたときには、“Red Flags”を思い出してみると安心です。
ひのとり整形在宅クリニックでは、腰痛に対しても慎重に判断しながら、ご本人の暮らしに寄り添った支援を心がけています。
今後とも勉強会等を通じ、医療と介護の一元化を目指して努めて参りますので、ひのとり整形在宅クリニックをよろしくお願いいたします。