第17回 〜セルフネグレクトを考える〜

第17回のひのとり検討会を開催しました。

ひのとり検討会は医師、コメディカル、ケアマネジャーが集まって医療と介護の一元化を目指し、それぞれの職種の役割の理解を深めるためにひのとり検討会を開催しています。

11月の「ひのとり検討会」では、ソーシャルワーカーの佐藤より、「セルフネグレクト」について実際の症例を交えて話題提供がありました。
私たち支援者にとっても、あらためて“寄り添うこと”の意味を考えさせられる内容でした。

◆ セルフネグレクトとは?
セルフネグレクトとは、自分自身の身のまわりのことや健康管理ができなくなり、安全な暮らしが脅かされてしまう状態のことです。とくに高齢の方で、家族や地域とのつながりが少ない方に起こりやすくなります。

近年では、新型コロナによる社会的な孤立も影響し、誰にでも起こりうる身近な問題になってきました。

「なんだか最近、身なりが乱れてきた」
「食事がきちんととれていないみたい」

そんな日常のちょっとした変化が、セルフネグレクトのサインかもしれません。

◆ ある94歳男性のケース
この方は、通院歴がなく、ほとんど誰とも関わらずに生活していました。はじめは、医療や支援を拒まれていましたが、少しずつ訪問を重ねることで、関係が築かれていきました。

ポイントとなったのは、「無理に介入しないこと」。

あくまでご本人の意思を尊重しながら、医療や福祉のサポートを受け入れられるタイミングを待つ。その“間”を大切にしながら支援していくことが、信頼につながっていったのです。

◆ セルフネグレクトへの支援で大切なこと
1人で抱え込んでいる方に寄り添うには、医療だけでなく、生活のサポートがとても大事になります。たとえば…

安否確認や声かけ

買い物や食事の支援

掃除や整容の支援 など

こうした”生活支援が「信頼のきっかけ」”になることも多いのです。

また、医師・看護師・リハビリ・ケアマネ・ヘルパーなどが連携することで、本人に合った関わり方を工夫できるようになります。いわゆる“多職種でのチーム支援”が、セルフネグレクトを防ぐカギになります。

◆ わたしたちにできること
誰かに「支えてほしい」と言うのは、とても勇気のいることです。

でも、たとえば週に1回の訪問、ほんの一言の声かけでも、関係は少しずつ動き出します。時間がかかることもありますが、それでも“つながりをあきらめない”ことが、セルフネグレクト支援の土台になります。

「この方なら、どんなふうに関われば受け入れてもらえるだろう?」

そんな問いかけを、チーム全体で考えながら、これからも柔らかな支援を続けていきたいと思います。

今後とも勉強会等を通じ、医療と介護の一元化を目指して努めて参りますので、ひのとり整形在宅クリニックをよろしくお願いいたします。