第15回 ショートステイでの看取りってできるの?

第15回のひのとり検討会を開催しました。

ひのとり検討会は医師、コメディカル、ケアマネジャーが集まって医療と介護の一元化を目指し、それぞれの職種の役割の理解を深めるためにひのとり検討会を開催しています。

今回の勉強会では、今回は、「ショートステイでのお看取り」について考える機会がありました。
実際にあった症例を通して、今後の支援に活かせるよう、看護師の板津さんがまとめてスタッフみんなで振り返りを行いました。

◆ ある患者さんのケースから
ご紹介するのは、91歳の女性の方。乳がんの末期で、ほかにも持病をお持ちでした。

ご本人は「できれば自宅で最期を迎えたい」と希望されていましたが、ご家族は「今後もっと動けなくなったら、自宅で看るのは難しいかも…」と悩まれていました。最終的には、緩和ケア病棟への入院を視野に入れての生活が始まりました。

療養生活を送る中でご家族の介護の負担を軽くするため、ショートステイの利用を開始されました。はじめは短期間の利用でしたが、ある時に転倒して骨折したことで、2週間ずつの利用に延びていきました。ショートステイ利用開始から2か月後には、訪問診療の前後を除き、ほとんどをショートステイで過ごされるようになっていました。

◆ 急な変化と、慌ただしい対応
そんな中、ある日、ショートステイ中に容体が急変。施設から私たちのクリニックへ連絡があり、急いで訪問看護と往診の調整を行いました。
同時にご家族にも連絡し、あらかじめ決めていた方針にそって、病院の緩和病棟へ救急搬送することになりました。

意識がもうろうとするなかで、ご本人は「ここでいいよ」と静かにおっしゃっていたそうです。

◆ なぜ「その場で看取る」ことができなかったのか
今回の振り返りで一番大きかったのは、「このショートステイで本当に看取りができたのか?」という確認が不十分だったことです。

ショートステイ施設のなかには、医療的な支援が難しい場所も多く、緊急時は救急搬送せざるをえないケースもあります。とくに、嘱託医(施設の契約医師)がいる場合には、外部から訪問診療に入ることができないこともあるのです。

もし、あらかじめ「この施設で最期まで過ごすことができるのか」を関係者で共有していたら、ご本人の「ここでいいよ」という思いに応えることができたかもしれません。

◆ 今後に向けてできること
ショートステイを使う前に、「看取りができる施設なのか?」をケアマネジャーや施設スタッフ、訪問診療のチームと一緒に確認しておく。

ご本人・ご家族の気持ちと、実際にできることのすり合わせを丁寧に行う。

使う施設の種類(生活援助が中心なのか、医療的な管理もあるのか)についても知っておく。

最期のときをどう迎えるかは、人それぞれです。どこで、誰と、どう過ごしたいのか。その希望に寄り添えるように、私たちも事前の準備と連携を大切にしていきたいと思います。

今後とも勉強会等を通じ、医療と介護の一元化を目指して努めて参りますので、ひのとり整形在宅クリニックをよろしくお願いいたします。